Integrating Japanese Eastern medicine with Western medicine.

今回のブログでは、肩関節の腱板障害に対する治療例をご紹介します。

肩関節の腱板障害とは?

肩には、肩関節の安定性に関与する、腱板と呼ばれる構造があります。この腱板は、四つの筋肉の腱から構成されます。

腱板障害は、この腱板に炎症や損傷、または断裂が生じる症状です。主な原因は過度の負荷や姿勢の悪化などで、症状には肩の痛みやこわばり、腕を上げる際の痛みなどが挙げられます。

患者さんの状況

患者さんにお話を伺ったところ、3ヶ月ほど前から、スーツを着るため腕を回した時に、肩の前面に痛みが出るとのことでした。MRI検査を行った結果、4つある腱板のうち2つの腱で炎症が起こっていました。

(水色:棘上筋、黄色:棘下筋)

MRIでは腱板を構成する筋肉の内の棘上筋と棘下筋の炎症が確認されましたが、理学療法検査の結果、棘下筋の機能不全が痛みに強く影響していると判断しました。(原因としては、姿勢不良や肩甲骨周囲の筋力のアンバランスなどが原因で、腱板に負担のかかる状態が続いていたことが考えられました。)

治療

前述したように、腱板は肩関節の安定性を保つのに非常に重要な働きをします。今回の患者さんは、炎症が続いて腱板の強度が低下し、その結果筋力を発揮しづらくなっていました。その為、肩関節の安定性向上のため、棘下筋を強化するための筋力トレーニングを行いました。

(肩関節腱板トレーニング)

また、痛みと炎症を抑えるために、棘上筋、棘下筋の腱にMLSレーザーを照射しました。

さらに、肩甲骨の動きが制限されていたため、徒手療法や筋肉を活性化させる手技(PNF)を活用して、肩甲骨の正しい動きを調整しました。

(PNF:肩甲骨トレーニング)

治療後

2ヶ月の治療の後、痛みは大幅に軽減し、現在は日常生活でほとんど支障がないとのことです。ただし、筋力や可動域にまだ左右差があり、少しの痛みも残っているため、今後もレーザー治療と理学療法を併用して継続していく必要があります。