Integrating Japanese Eastern medicine with Western medicine.

顎関節症

顎関節障害(症)(Tempromandibular dysfunction, TMD)とは、顎の筋肉、顎関節、および慢性的な顔面痛に関連する障害です。筋肉、骨、関節などの複雑なシステムがうまく協調して動作しないことがTMDの原因となります。

TMJ 顎関節
顎関節治療:ニューヨーク、ファンクフィジオ

顎関節(Tempromandibular joint, TMJ)下顎を頭蓋につなぐ2つの関節です。具体的には、耳の前にある関節で、下顎(下あご)と側頭骨(頭蓋の側面と底部)から構成されています。顎関節は、複雑な関節の1つであり、下顎を上下左右前後に動かすことができます。下顎と関節が適切に整列していると、咀嚼、話す、あくび、飲み込みなどのスムーズな筋肉活動が行われます。これらの構造(筋肉、靭帯、ディスク、顎骨、側頭骨)が整列しておらず、運動が同期していない場合、いくつかの問題を引き起こす可能性があります。顎関節症のはいくつかの部類がありますが、主に以下の3つのパターンに分けられると思います。

  • 筋筋膜痛:最も一般的なTMDの形態であり、咀嚼、首、肩の機能を制御する筋肉や筋膜に不快感や痛みを引き起こします。肩こりなどと同じような症状になります。
  • 関節内変形:顎の脱臼や関節の間にあるディスク(顎の骨頭と頭蓋骨の間の軟骨のクッション)の疾患や、顎の骨頭である骨の問題などが含まれます。
  • 関節の退行性疾患:これには、顎関節の関節炎やリウマチ性関節炎が含まれます。

もちろんこれらの状態を1つ以上同時に患っている場合も多いです。

TMDの原因は一概に言えませんが顎関節に対する過剰なストレスであることは間違いありません。例えば歯ぎしりや歯の噛み締めなども一因です。精神的なストレスからこうした歯の噛み締めなどを引き起こすことも多々ありますので、ストレスが原因の場合も多々あります。しかし、顎や頭、首への外傷がTMDを引き起こすことも当然あります。他にも、線維筋痛症や過敏性腸症候群などの痛みのある疾患がTMDの痛みを重症化させることがあります。ですので、整形的、心理的、感覚的、遺伝的、神経系の問題などがTMDの要因となると考えられています。

PRI R TMCC patternから来る顎関節の歪み

TMDの兆候や症状は以下の通りです。以下のような症状があればファンクフィジオにご相談ください。

  • 顎の不快感や痛み(朝や夕方に最も顕著に現れることが多い)
  • 頭痛 ・目の奥、顔、肩、首、背中に広がる痛み
  • 耳の痛みや鳴り響き(内耳管の感染によるものではない)
  • 顎のクリック音やポップ音
  • 顎のロック
  • 口の動きの制限
  • 歯ぎしり
  • めまい
  • 口腔健康状態に関係なく、歯の感度
  • 上下の歯の噛み合わせ問題

TMDの症状は、他の疾患や医療問題に似ている場合があります。ファンクフィジオでは歯医者、医師と連携してTMDの対応にあたっています。

Ron Hruska, Dr.Masha Pelts(Dentist), Yohei Takada

顎関節症の多くは顎関節自体の問題というよりは他の体の不バランスからのストレスからくることがほとんどです。姿勢、体のバランス問題、頚椎の問題(ストレートネックなど)、咀嚼筋の硬直(不バランス)、呼吸問題、自律神経問題などに起因することが多いです。これらを徒手的、運動的に改善させ根本的に治療することでファンクフィジオでは多くの顎関節症の患者さんの根本解決をしてきました。

顎関節症対策:自分でできる舌と顎のエクササイズ、パート1
顎関節症対策:自分でできる舌と顎のエクササイズ、パート2
自分でできる顎関節のエクササイズ:顎関節症を根本的に治す。

頭痛

頭痛は非常に一般的な苦情です。世界的には、現在頭痛障害がある人口の推定全体の52.0%に上るとされています。つまり、半数以上の人が何らかの頭痛に苦しんでいるということになります。

国際頭痛分類には150種以上の頭痛が定義され、主に2つのカテゴリに分類されます。一次性頭痛と二次性頭痛です。

もちろん、ある種の頭痛は命にかかわることがあり、すぐに医療の専門家に相談する必要があります。ただし、多く場合、物理的な原因によって引き起こされることがあり、理学療法で対処できます(理学療法が1番の対処法の場合が多いとも言えます)。たとえば、片頭痛はストレスや不安、明るい光や大きな音などが引き起こすことがあります。片頭痛が発生すると、治療する方法がない場合もありますが、片頭痛のキッカケは、捻じれた頭蓋骨パターン、交感神経と副交感神経系の不均衡、頸部および胸部の緊張、クラニオセイクラルの障害などと関連していることがあります。これらの要因は、ファンクフィジオ(理学療法的)で治療できるケースが多く、我々セラピストは頭蓋、首、顎関節、姿勢といった総合的な視点から頭痛の原因に対して根本治療を行うスペシャリストが揃っています。

頭蓋骨のねじれ

1, Stovner LJ, Hagen k, Steiner TJ. The global prevalence of headache: an update, with analysis of the influences of methodological factors on prevalence estimates: J of headache and pain;23:34(2022)

耳鳴り

耳鳴り、つまり耳の鳴りの原因は様々で原因特定が難しい症状です。実際、インターネットでも、耳鳴りとめまいが最も検索される症状ではないでしょうか?検索すると、聴覚に関わる脳の領域が自発的に活動を増やしたときに発生すると考えられています。したがって、ほぼすべての聴覚系の障害に関連していると言っても過言ではないです。耳の鳴り声に限定されず、口笛、ブーン、ハミング、ヒッシング、轟音、チャーピングなど、様々な音が認識されることがあります。

耳鳴りには3つの形態がありここではその形態を簡単に説明します。最も一般的な第1の形態は、高音量の音にさらされることによって、内耳または蝸牛(Cochlea)の損傷から起こります。

耳鳴りの第2の一般的な形態は、増加した神経筋張力からの自律神経系の刺激です。再訓練療法は、通常2年以上かかるプロセスで、自律神経系からこの緊張を減らすのに役立ちます。このプロセスは、反応の習慣化と呼ばれます。しかしながらこのような再訓練は、脅威、否定的な経験、未診断の症状である場合、または個人が多くの感情的ストレスにさらされている状況下では不可能となってきます。多くの耳鳴り患者は、外部の音に高度に敏感な高音感を持っているため、静かな環境で仕事をすることを求めて探し求めていることが多いです。しかしながら、これもマイナスに働くことがあると考えられています。なぜなら、耳鳴りが起きている、または気になるという状況から、潜在意識の生存スタイルまたは状態反応メカニズムは、耳鳴りを常に気にしてしまうからです。そのために状態自体が改善しないことが多々あります。
耳鳴りとともに時々現れるその他の症状、感情的苦痛、うつ病、めまい、不眠症などが挙げられ、大脳辺縁系構造に問題がある可能性がある考えられています。

三つ目は顎関節症や歯ぎしり、顎の動きに制限があるなどを抱える人々と、耳鳴りとの関係があることがわかっています。これらの人々は、内耳を包む顳骨に直接付着する筋肉の過活動による耳鳴りがおきる可能性があります。現時点で、耳鳴りと顳骨の外側または内側の回転の関係は文献によっては明確ではありませんが、直接的に耳鳴りと関連する第三の原因として、聴骨ヘテロトピア、顎関節症、噛みしめ症、口開け制限があることがわかっています。この理由は、蝶形骨と顳骨に付着する鼓膜張筋と関係していると言われています。この筋肉は、鼓膜を緊張させるな働きがあり、伸長されるような位置に置かれると、三叉神経の下顎枝による神経支配に影響を与えることがあります。それにより、鼓膜の外側面に直接的な影響を与える可能性があり耳鳴りを引き起こすと考えられます。

耳鳴りの原因は多種多様ですが、組織損傷でない限り回復は見込まれます。上述したように顎関節症からの派生、蝶形骨の歪み、自律神経問題からくる筋緊張、姿勢の歪みから来る頭蓋骨の歪みなどから来る耳鳴りが大半を占めていることが多いです。ファンクフィジオでは耳鳴りに長年悩む患者さんを治療することが多く、治療の結果、長年の耳鳴りが無くなったというケースも非常に多いです。

ロン・ハラスカ、PRI founder, がファンクフィジオで耳鳴りの患者さんの治療風景

歯科医とフィジカルセラピストのコラボレーションが顎関節症の改善に大きく貢献する研究文献

“Craniovertebral and Craniomandibular Changes in Patients with Temporomandibular Joint Disorders after Physiotherapy Combined with Occlusal Splint Therapy: A Prospective Case Control Study”「理学療法と咬合スプリント療法の併用治療の効果に関する包括的な研究論文であり、顎関節障害(TMD)と診断された患者に対するこれらの治療法の影響を調査研究」。

主な研究内容は以下の通りです。

背景と目的:TMDを患う患者が理学療法と咬合スプリント療法を併用した後の頭蓋脊椎および頭蓋顎変化を評価することが目的です。

  • 併用療法は、顎の垂直および矢状位置、および第一頸椎(C1)と第二頸椎(C2)間の機能的空間の幅に著しく影響しました。
  • さらに、治療後に頚椎の前弯が回復しました。
  • これらの変化は対照群では観察されず、TMD治療における併用療法の有効性を示しています。

結論:研究は、TMDを患う患者、特に顎関節症の患者を治療する上で、理学療法士と歯科医師との連携が重要であると結論付けています。この併用治療アプローチは、頭蓋脊椎および頭蓋顎領域において顕著な変化をもたらし、TMDの管理における多職種アプローチの重要性を強調しています。この論文は、治療アプローチの方法論、分析、およびその意義について詳細な洞察を提供しており、TMDを扱う医療専門家にとって貴重な情報を提供しています。