ロンドンで開催された認知機能療法(Cognitive Functional Therapy)コース
「痛みの神経科学と心理学に基づくアプローチ」
須賀先生は2024年6月に上記の3日間のコースに参加しました。彼は痛みの神経科学に基
づいたホリスティックな痛みのアプローチを、筋膜徒手療法と組み合わせて適用してき
ました。須賀先生は慢性疼痛管理のスキルと知識をさらに強固なものにしたいと考えロ
ンドンまで行ってきました。このコースの講師はオーストラリアのカーティン大学の教
授であるピーター・オサリバン氏で、須賀先生は2015年にシンガポールで開催された世
界理学療法学会の彼のシンポジウムに参加して以来、彼の研究をフォローしてきました
。以下は、認知機能療法(Cognitive Functional Therapy)の詳細な概要です。このアプ
ローチは、痛みの神経科学と心理学に基づいたホリスティックな方法です。もし腰痛を
含む慢性疼痛に苦しんでいらっしゃるようであれば、ぜひ須賀先生にご相談ください!
イントロダクション 認知機能療法(CFT)は、身体的、心理的、ライフスタイルの介
入を統合して、腰痛(LBP)に対処するために設計された新しいアプローチです。この
アプローチは、従来の生物医学モデル(体の一部のダメージ=痛みというもの)に異議
を唱え、慢性腰痛を効果的に管理できないことが多い従来の方法に代わり、痛みに影響
を与える身体的、認知的、環境的要因の複雑な相互作用を考慮する生物心理社会モデル
を採用しています。
CFTの原則と構成要素
- 痛みの理解: 患者に痛みの性質について教育し、慢性腰痛が構造的損傷だけでな
く、心理的および社会的要因によっても影響を受けることを理解してもらう。 - コントロールされた暴露(動作経験): 恐怖を感じる動きや活動を患者に経験し
てもらい、生活および動作のコントロールを取り戻し、痛みの想起による恐怖回
避行動を減少させる。 - ライフスタイルの変更: 日常生活の活動の修正を奨励し、長期的な痛み管理と全
体的な健康をサポートするための健康的なライフスタイルの選択を促進する。
臨床推論フレームワーク
CFTは、患者の痛みの経験に寄与するさまざまな要因を評価する多次元的な臨床推論フ
レームワークを採用しています。これには、身体的障害、心理的苦痛、および社会的課
題の評価が含まれます。セラピストは、この包括的な評価を使用して、各患者の個別の
ニーズと状況に合わせた治療計画を策定します。
CFTの実施 CFTの実施は、以下の段階を含みます: - 評価と目標設定: 初期評価では、患者の痛みの経験、信念、および機能制限を理
解することに焦点を当てます。患者の価値観や願望と一致する治療を行うために
、協力して目標を設定することが重要です。 - ターゲット介入: 評価に基づき、セラピストは運動再訓練、認知再構成、および
ライフスタイルの変更などのターゲット介入を実施します。これらの介入は、評
価中に特定された特定の痛みの要因に対処することを目的としています。 - 日常生活への統合: セラピストは、患者が新しい動きのパターンや対処戦略を日
常生活に統合するのを支援し、変化が持続可能で意味のあるものであることを確
認します。
効果のエビデンス
いくつかの研究で、慢性腰痛の管理におけるCFTの効果が示されています。従来の理学
療法や手技療法と比較して、CFTは痛みの強度、障害、および心理的苦痛の長期的な改
善において優れた結果を示しています。たとえば、記事で強調されたあるランダム化比
較試験では、CFTを受けた患者が標準的なケアを受けた患者と比較して、痛みと機能の
大幅な改善を経験したと報告されています。
結論
CFTは腰痛管理において大きな成果をあげています。慢性痛の多面的な性質に対処することで、CFTはホリスティックで個別化されたアプローチを提供し、慢性腰痛患者の結果を改善する可能性を秘めています。より多くのセラピストがこの方法でトレーニングされ、追加の研究がその効果をより支持するにつれて、CFTは慢性疼痛管理の標準的なケアとなる可能性があります。慢性疼痛に苦しんでいるなら、ぜひ彼のところへ行ってみてください!
ピーター・オサリバン教授とスガ博士
Reference
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6037069/