Integrating Japanese Eastern medicine with Western medicine.

顎の痛みが出た時に、痛みの治療の選択肢として理学療法士を思い浮かべる人は少ないのではないでしょうか。顎関節の中やその周辺には、他の身体の部位と同じように、軟骨、筋肉、靭帯などがあります。理学療法士は顎関節に関しても知識があり、治療が可能です。今回は、長年顎関節の痛みに悩まされる男性の治療について紹介していきます。

患者さんの状況

患者さんは学生(20代男性)で、10代前半から両顎の痛みが始まったとのことです。長時間座っていたり、何か運動したりすると顎の痛み(左>右)が出てきていました。顎や首周りを見てみると、顎関節周囲の筋肉は固まり、首の動きも悪くなっていて、猫背姿勢になっていました。顎関節では、右の関節が固くなり、左の顎を多く使っていました。

治療

顎関節周囲の筋緊張は、姿勢や首の位置などが強く影響します。実際に今回のケースでは、後頭部付近の筋肉がとても固くなっていて、顎が前方に引っ張られ、顎関節周囲の筋肉にストレスがかかっていた可能性が考えられます。対症療法として、コルクを横に転がす”コルクエクササイズ”を指導し、根本治療に関しては、主に姿勢改善を目指して治療しました。姿勢改善のために、頸部や肩甲骨周囲に対して徒手療法や運動療法を処方しました。

”コルクエクササイズ” – コルクを口にくわえ、顎を左右にスライドさせる

現在

治療前に訴えていた、朝起きた時の痛みはほとんどなくなりました。一方で、運動をしていると少しずつ肩と顎が辛くなってくる症状はやや残っています。現在は、姿勢を維持した中で運動ができるように、適切な肩や首の使い方を練習しています。